AIと人間の違いに迫る

社会

先日は、人間の倫理観がどう自動運転技術に関係しているのか書きました(こちら)。AIが高度なものになるにつれて、さらに「人間らしさとは何か?」という議論が盛んになるわけなのですが、この記事では、「コンピューター(AI)は人間のように考えることができるか?」というお話です。

そもそも「考える」とは何か? Goo辞書によると…” 知識や経験などに基づいて、筋道を立てて頭を働かせるー ➀判断する。結論を導き出す ➁ 予測する。予想する。想像する。➂ 意図する。決意する。 ” この意味を考慮すると、コンピューター技術は「考える」ことをクリアしているように思います。では、本当にそう言えるか?2人の哲学者の意見を見て、AIは人間のように考えていると言えるか見ていきましょう!

イミテーション・ゲーム

この言葉を聞いて、あの有名な映画を思い浮かべる人も多いと思います。そうです、これはコンピューターサイエンティストであり哲学者でもある、Alan Turningが作り出した、コンピューターがコンピューターと呼べるかどうか図るテストのようなものです。まさにこの質問「コンピューターは考えることができるか?」に対する彼なりの答えです。

結論から言うと、Turningの答えは「コンピューターは考えることができる」です。 イミテーション・ゲームは、ざっくり簡単に説明すると、コンピューターシステムが人を騙すというものです。もし、そのコンピューターが人を騙すことができれば、そのコンピューターシステムは考えることができるというわけです。

初めにも紹介したとおり、「考える」の辞書の意味からするとコンピューターシステムは「予測して結論を導き出す」ということをしているので、Turningの議論のとおり、コンピューターは考えることができると言えるかもしれません。

中国の部屋

これに待ったをかけたのが、 哲学者であるJohn Rogers Searleです。彼はChinese Room(中国語の部屋)という議論を繰り広げます。

まず、あなたは中国語が全くわからない超初心者です。そして、中国語の問題を解くとします。もちろん、中国語の問題を見ても何が何だか検討もつきません。でも、あなたの母国語でその問題をとくための説明書が置いてあります。それを読んで、あなたはその指示どおりに従って、中国語の問題を解くことができました。

この問題に正解したあなたは考えたといえますか?言えませんよね。というのが、Searleの議論です。その問題を解けたからと言ってそれが何を意味しているのか理解できていなければ「考える」とは言わない。つまり彼曰く、コンピューターシステムは、ただただ説明書に従って答えを導き出しているだけであって(統語的)、それにどんな背景があるのか、それがどんな意味なのか理解していない(意味的ではない)と。

Searleは「考える」ということは、人間だけが持つ生物学的な部分のものであるから、コンピューターシステム(AI)は人間のようにはなれないと言っています。

最後に

さて、「考える」について見てみました。どうですか?こうやって見ると哲学も面白いですよね。AIはどこまで人間に近づくんでしょうか。今後が怖いような楽しみのような…。 今後は「アイデンティティ」とは何か?「現実」とは何か?など、身近で考えると意外と面白いことについても紹介していきたいと思います!

今回の参考文献…

※上の二つは同じ本で英語か日本語かの違いです。この本めちゃくちゃ面白いです!脳科学、哲学、心理学に興味がある方にお勧めします!

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