こんにちは!
みなさんは貧困問題、地球温暖化、世界人口、男女間の不平等、教育等、よく耳にするこのような世界の現状をどれくらい正しく理解できていると思いますか?これから世界はどうなっていくと思いますか?
この記事では、私がここ最近で読んだなかで一番勉強になった本を紹介します^^
その本は…『Factfulness-10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 –』
この本は、スウェーデン人で国際保健のスペシャリストであるHans Roslingさんと、息子のOlaさん、そしてその奥さんAnnaさんの3人によって書かれた本です。
日本のような高収入の国の人たちが、どれだけ世界の現状について無知で、間違った見方をしているか、私たちが学校で習った世界観は時代遅れであるということを国連などのデータを提示し、読者の世界に対する認識を改めていくという内容です。
一言で言うと、「事実(データ)を基に正しく世界を理解しよう」という内容の本です!
この本では、私たちのほとんどが持っている間違った世界観はいったいどこからくるのか?事実に基づいた世界観にどうやったらシフトできるか?を、人間の10の本能的思考パターン(Instinct)を解説しながら教えてくれます。
自分の世界への理解がいかに古いものだったか、偏見を持って世界を見ているかってことを思い知らされます。絶対読むべき本だと思います!
- 世界に関する13の質問
- 先進国/発展途上国の区分けはもはやできない(The Gap Instinct)
- The Negative Instinct(ネガティブな思考)
- The Straight Line Instinct(一直線の思考)
- The Fear Instinct(恐怖からくる本能)
- The Size Instinct(サイズの思考)
- The Generalized Instinct(一般化の思考)
- The Destiny Instinct(運命を信じる本能)
- The Single Perspective Instinct(単一の視点の思考)
- The Blame Instinct(非難の思考)
- The Urgent Instinct(今やらなければという思考)
- 最後に
世界に関する13の質問
ではまず、みなさんがどのくらい世界を正しく認識できているか、基本的な13の質問をします^^
(本の最初に出てきます。)
1.今日、世界的にみて低所得の国々ではどのくらいの数の女の子が小学校を終えているか?
A. 20% B. 40% C. 60%
2.世界の人口の大半はどこに住んでいるか?
A. 低所得の国々 B. 中所得の国々 C. 高所得の国々
3.過去20年間で、超低所得にある世界人口の割合は…
A. ほぼ2倍になった B. ほとんど変わらない C. ほぼ2分の1になった
4.今日の世界の平均寿命は?
A. 50歳 B. 60歳 C. 70歳
5.現在世界中で0-15歳の子供の数は20億人である。国連は2100年のこの子供の数は何人になると予想しているか?
A. 40億人 B. 30億人 C. 20億人
6.国連は2100年までに世界人口はさらに40億人増えると予想している。この主な原因は何?
A. 15歳以下の子供の増加 B. 15-74歳の人口の増加 C. 75歳以上の人口の増加
7.過去100年で、自然災害による年間の死亡者数はどのように変化したか?
A. 2倍以上になった B. 平行線 C. 半分以下に減った
8.現在世界には約70億人がいる。この人口はどのように分布しているか?
(※これは本内の地図をみないとわかりづらいです。)
A. アフリカ大陸1:ヨーロッパ1:アジア4:アメリカ大陸:1
B. アフリカ大陸2:ヨーロッパ1:アジア3:アメリカ大陸:1
C. アフリカ大陸1:ヨーロッパ1:アジア3:アメリカ大陸:2
9.今日、あらゆる病気に対するワクチンを接種している世界中の1歳の赤ん坊の割合は?
A. 20% B. 50% C. 80%
10.世界中で、30歳の男性は平均10年間という時間を学校で過ごしているが、同じ年の女性が学校で過ごす時間はどのくらい?
A. 9年間 B. 6年間 C. 3年間
11.1996年、トラ、ジャイアントパンダ、黒サイは絶滅危惧種に登録された。この3種の中で現在危機的状況に瀕しているのは?
A. このうち2種 B. このうち1種 C. 3種とも危機的状況ではない
12.世界でどのくらいの人が電気にアクセスできている?
A. 20% B. 50% C. 80%
13.地球温暖化のエキスパートが信じているのは、今後100年、地球の平均気温は…
A. 今より暖かくなる B. 変わらない C. 今より寒くなる
この13の質問は日本を含む、高所得の14の国、1万2000人以上の人々に行われました。
国際フォーラムなどに参加するほどの専門家、ジャーナリストを含んでいます。
ちなみに…最初の12問中2問正解!これが、このテストの平均スコアです。
最後の問題は約8割以上の人が正解できたようです。
※ちなみに日本は14カ国中最下位の78%の正解率です…。
このテスト、チンパンジーにも行われました。笑
もちろん、チンパンジーは世界情勢なんか知る由もないので、答えはランダムに選ばれています。
なんと、チンパンジーの平均スコアは…最初の12問中4問正解!
私たちはチンパンジーよりも世界を正しく理解できていないという結果です^^;
筆者のHansさんは、どんなに専門的な分野を専攻したプロフェッショナルであろうと、高等教育を受けた人々でさえも、正しい答えを選べていないと言います。
ちなみに私は…13問中1問です。恥ずかしい!!!
この記事では13問の中でも、世界的に正解を選べていなかった4つの問題の答えを教えます。
※とはいっても、最後の問題以外、全ての問題でほとんどの人が正しい答え選べていません!笑
Q. 1 答え:C. 60%
Q. 3 答え:C. ほぼ2分の1になった
Q. 7 答え:C. 半分以下に減った
Q.9答え:C. 80%
Q. 12 答え:C. 80%
私はこの本をみなさんに読んで欲しいので、この記事では全部答えを言いません!!
他の答えを知りたい人は、是非本を買って読んでください!!
もう一度言いますね。このテストを受けた人の平均スコアは最初の12問中2問正解です…。
先進国/発展途上国の区分けはもはやできない(The Gap Instinct)
世界を「先進国」と「発展途上国」の二つに分類して話をする人多くないですか?
でもHansさん曰く、この世界観は1970年代のもので、今はこの呼び方は時代遅れだ!!と言っています。
現在多くの発展途上国と呼ばれた国は発展をとげています。
Hansさんは、世界を収入別に4つのレベルに分けるべきだと話しています。
Level1:日収1ドル~2ドル未満(世界人口の約10億人)
Level2:日収2ドル~8ドル未満(世界人口の約30億人)
Level3:日収8ドル~32ドル未満(世界人口の約20億人)
Level4:日収32ドル以上(世界人口の10億人)
データを見るとわかるように、世界の人口の大半は中間層にいて、超貧困、裕福な生活を送っている人はほんのわずかです。
Gap Instinctは、一番悪い/良い、貧困/裕福など、極端な差のあるところに目が行って平均値に目がいかない本能的思考パターンを指します。
では、この中間層が一体どんな生活をおくっているか?
Level 2になると、安定した生活とまではいかないものの、水を汲みに行くための自転車を購入できるほか、ガスストーブや子供のサンダルを購入でき、子供は薪を集めるかわりに学校に行くことができるレベルになります。
Level3になると、蛇口を導入して水を引けるようになり、安定した電気供給のもと生活ができるようになります。さらに、バイク・冷蔵庫も購入でき生活の質は一気に上がります。
どうですか?
私たち日本人はLevel4にいます。Level4からみたLevel2、Level3はまだ貧困だと思いますか?
恐らくほとんどの人がまだ貧困だと言うと思います。
Hansさん曰く、事実を基にした世界観を手に入れるのに一番の難関は、Level4の人たちは自分たちの生活レベルを基準に他のレベルを見ていて、Level1~Level3まで、何の差もなく貧困だとみなしてしまうことだといっています。
The Negative Instinct(ネガティブな思考)
つづいては、Negative Instinctです。そう、世界をネガティブにとらえてしまう本能です。
世界はどんどん悪い方向に向かっているのか?
いえいえ!そんなことは全くなく、むしろその逆です。
先のGap Instinctでも少しお話しましたが、Level1の国は世界の15%ほどにすぎません。
世界は間違いなく発展していて、多くの国が貧困から抜け出し生活の質は向上しています。
子どもの致死率、オゾン層破壊、飢え、HIV感染者、奴隷の数など、負の事象は減っています。
一方、自然保護、読み書き能力、民主主義、インターネット普及率など、正の事象は増えています。
これらは全て、データが示しています。
The Straight Line Instinct(一直線の思考)
これは、折れ線グラフなどのデータを見たとき、多くの人が増え続ける、もしくは減り続けると思い込んでしまうということです。
でも、実際にはそのグラフは途中で平行線になったり増えたり減ったりする可能性があります。
世界人口について、国連は2100年までに40億人も人口が増加をすると推測しています。
これはとても興味深くて、1800年から今日までの一人当たり女性が生む子供の数を示したデータがあります。みなさんの想像どおり、世界人口の増加に反して、一人当たり女性が産む子供の数は減少傾向で、1800年で一人6人近く産んでいたのに、2015年には2.5人を下回っています。
この数は、Level1~4までの全世界の女性の出生率です!
40億人増加の40億人…一体どこから来ているのか?
答えは本を読んでください^^
これは本にありませんが、国連が発表している、今いる人口を将来置き換えるために女性が産まなければならない子供の数は2.1人です。日本はこの25年で1.72人まで減り、2050年までに今の人口の15%を失うと言われています。
女性の出生率は減少傾向で、確かにまずいんですが、Hansさんは将来的にバランスが取れてくるといっています。
今がアンバランスなだけで、将来はお年寄りの数と、子供の数のバランスはあってくると。
女性の出生率が減る=避妊教育の普及、夫婦間の話し合い(=男女平等)、女性の社会進出
Level2、3の国々では、とっくにこのようなことは起きています。これは、宗教的、文化的背景は全く持って関係ありません。
女性の出生率の減少は国の社会経済的発展の証拠でもあるわけです。
The Fear Instinct(恐怖からくる本能)
これは、人は恐怖にさいなまれると、クリティカル・シンキング(批判的思考)ができなくなるということです。
例えば、メディア。メディアは日常的なことを報道するのではなく、自然災害、戦争など、人々の恐怖を掻き立てるような出来事を好みます。なぜなら、視聴者を獲得するためです。
こういう映像を見たり、ニュースを読むと世界はどんどん悪い方向へ行っているのか?と思い込んでしまうのです。
ここでは福島原発についても書かれています。
でも、決してメディアだけのせいにはできません!なぜなら、多くのジャーナリストは真実を伝えようとしているからです。ただ、他の人たちと同様に、事実を基にした世界を理解していないだけなんです。
The Size Instinct(サイズの思考)
これは、物事の大きさを間違って判断しがちだということです。
これは世界人口の分布について、世界の人口の中心はアジアです。
Hansさんは会社にも出向いて講義をしているそうですが、今後もLevel1~3の国が発展をとげれば、世界市場は大西洋ではなくインド洋に移るといっています。世界市場は西洋諸国、日本などにあると信じてやまないビジネスマンも多いみたいです。
でも、言われればそうですよね。これらのレベルの人々の消費量は必然的にあがりますもんね。
The Generalized Instinct(一般化の思考)
これは、全てを一般化してとらえる思考です。
先ほどLevel2と3の生活様式を説明しましたときにも話しましたが、Level4の私たちが他のレベルを見たときに、私達の当たり前を、そのレベルに求めてはいけません。
例えば、エレベーターの機能性、建築法など、私達の目からしたら考えられないようなことも、もしかしたら、そこではそれが合理的だからかもしれません。
それぞれのレベルで進歩のスピードや、方法は違います。Level4を基準にして考えてはいけません。
The Destiny Instinct(運命を信じる本能)
これは、人、国、宗教、文化を宿命づけてそこから抜け出すことは不可能だと考える思考です。
Hansさんが大学の授業で、アフリカはLevel4まで上がってこられるかという問いに、学生たちは「絶対に私達のようになるのは無理だ」と言ったそうです。
でも、何十年前の今のLevel4の国々もLevel1,2のような時代があって今があるわけです。アフリカがLevel4になることは十分に考えられることです。
The Single Perspective Instinct(単一の視点の思考)
これは、人は一つの観点から物事をみがちだということです。
専門家やアクティビストは、自身の極めた分野からでしか物事を見ていないことがあって、それが正しいと思い込んでしまうことがあります。
例えば、資本主義が100%いいのか?
アメリカは資本主義がすべてを解決してくれるという考えのもと、国民健康保険はなく、Level4に属する国々の中で個人が医療に費やすお金は群を抜いて多くなっています。それにも関わらず、寿命は他の国に比べて短い結果になっています。
かといって、共産主義のキューバが発展しないのは中央政権が全ての問題を解決しようとするからだという声もあります。
これに関してHansさんは、数字のデータだけではわからないこともあると言っています。政治スタイルがどんな形であろうと、政府は全ての問題を解決することはできない。すべては何事もケースバイケースであると話しています。
The Blame Instinct(非難の思考)
これは、人は何か悪いことが起こった際に、非難する対象を探し攻撃しがちだといいます。
例えばCO2の排出量。Level4の国々は中国やインドなど、現在急激に発展を遂げている国を非難します。しかし、人が排出した空気中のCO2のほとんどは、現在Level4に住む人々が過去50年間で発展途中に排出ものです。
でも、ここで犯人を突き止め非難することが重要なのではなく、起きた問題にどうやって取り組んでいくのか、解決策を探す方が大切だと話しています。
これは、今のパンデミックにも言えることですね。
The Urgent Instinct(今やらなければという思考)
これは、今やるか一生やらないかという思考です。全ての問題が、この一瞬で決めなければならないわけではありません。
地球温暖化は決して無視されてはいけない問題ですが、一夜ですべてが変わるというものでもありません。正確で関係性のあるデータを参考にし、小さなステップを確実に踏んで長い目で取り組んでいく問題です。
最後に
5個の答えを見て、薄々気づいた人もいたかもしれませんが、世界は悪くなっているのではなく、むしろその逆でよくなってきています。
世界で起きている問題のほとんどは文化的・宗教的な原因ではなく、収入レベルが原因になっているそうです。
Hansさんは、私達の世界観をアップデートするべき、とくに、学校で子供たちに自分たちが今、社会経済的にどのレベルに居るのかを認識させ、そのうえでこのデータでみた世界を教えていくことが大切だと言っています。
このコロナウイルスで世界がどう変わっているか、こういったInstinctからではなく、データからみていく必要がありますね。
この本、本当に多くの人に読んで欲しいです!そして、読んだ人はこれを回りの人にも教えてあげて欲しいです^^
P.s.英語を勉強している人は、英語でも読めると思います^^そこまで難しい単語はありません!
それと、質問の訳、見出しのInstinctの訳については日本語訳の本と違うと思いますが、悪しからず。。